2017-10

「Parade」 (Magazine 1979年6月=アルバムリリース)


リアル・ライフリアル・ライフ
1,080円
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初出:2013年5月14日(訳詩追加)

☆ マガジンのデビューアルバム『リアル・ライフ』の最後を飾る曲で,珍しくベーシストのバリー・アダムソンが詩を書き(ディヴォートが捕作している)デイブ・フォーミュラが曲をつけている。個人的にはこの曲をもって後のニュー・ロマンティックス(フォーミュラ,ジョン・マッギオーク,アダムソンの三人はそれに深く関わっている)につながるサウンド・プロダクションの原始的萌芽と捉えている。間奏部分のマッギオークのサックスが曲に深みを与えている(彼のような器用なプレーヤーがいなかったから,ニュー・ロマは広がりにかけたのかもしれない)。

Parede (Barry Adamson/David Tomlinson/Howard Devoto)


They will show me what I want to see
彼らはぼくが見たいと思うものを見せてくれるだろう
We will watch without grief
ぼく等は悲しみに沈むことなく見つめることになるだろう
We stay one step ahead of relief
ぼく達は安堵のためほんの一歩そこから歩み出すのだ

You tell me we've been praying
きみは教えてくれる,ぼく達が祈りの中にあるということを
For a bright and clever hell
輝かしく,賢い修羅場のための
I think we've been forced to our knees but I can't tell
ぼく達はたぶん無理やりそこに跪(ひざまず)かされている,だけど僕はそれを告げられない

Sometimes I forget that we're supposed to be in love
ぼくは時に忘れてしまうのだ,たぶんぼく達はお互いのことが好きだということを
Sometimes I forget my position
時にぼくは,自分のいる場所を忘れてしまうのだ

It's so hot in here
ここは何となく暑くないかい
What are they trying to hatch?
彼らは何を企んでいるのだろう?
We must not be frail, we must watch
ぼく達は挫(くじ)けてはいけない,ぼく達はその正体を見届けないといけない

Now that I'm out of touch with anger
今やぼくは,苛立ちを抑えきれなくなっている
Now I have nothing to live up to
今はぼくには,なす術は無くなってしまっている
And I don't know when to stop joking
それなのに,ぼくはいつこの取り止めもない話を止めればいいのか分からない
When I stop I hope I am with you
ぼくにそれをやめる時があれば,たぶんきみがその傍にいる時だろう

Sometimes I forget that we're supposed to be in love
ぼくは時に忘れてしまうのだ,たぶんぼく達はお互いのことが好きだということを
Sometimes I forget my position
時にぼくは,自分のいる場所を忘れてしまうのだ

What on earth is the size of my life ?
いったい全体,ぼくの人生ってものは何なのだ?

It's so hot in here
ここは何となく暑くないかい
What are they trying to hatch?
彼らは何を企んでいるのだろう?
We must not be frail, we must watch
ぼく達は挫(くじ)けてはいけない,ぼく達はその正体を見届けないといけない

Now that I'm out of touch with anger
今やぼくは,苛立ちを抑えきれなくなっている
Now I have nothing to live up to
今はぼくには,なす術は無くなってしまっている
And I don't know when to stop joking
それなのに,ぼくはいつこの取り止めもない話を止めればいいのか分からない
When I stop I hope I am with you
ぼくにそれをやめる時があれば,たぶんきみがその傍にいる時だろう

Sometimes I forget that we're supposed to be in love
ぼくは時に忘れてしまうのだ,たぶんぼく達はお互いのことが好きだということを
Sometimes I forget my position
時にぼくは,自分のいる場所を忘れてしまうのだ

Personnel
Howard Devoto – vocals
John McGeoch – guitar and saxophone
Barry Adamson – bass guitar
Dave Formula – keyboards
Martin Jackson – drums

2017年10月2日付記
NOTE: クレジット中,David Tomlinsonは,Dave Formulaの本名。彼が芸名を使った理由は本名と同姓同名の著名人(俳優)がいたため。本邦における同様な例として,ケラリーノ・サンドロヴィッチ(本名が著名実業家と同姓同名)がある。

☆ マガジンの歌詩の世界はハワード・ディヴォートの美意識に左右されているが,彼のそうした意識がマガジンというバンドを形成していたということもできる。この曲はアダムソンがクレジットされているが,曲のテーマは単純であり複雑でもある。人が誰かを意識し始め,どうやらそれが恋らしいと気付くにはどれほどの時間がかかるのか。それはもちろん一つ一つで異なる。この曲の主人公は,自分の気持ちに素直になれないまま,立ち止まっている。彼の目の前を通り過ぎていく「パレード」はもちろん彼にしか見えない幻想で,それは「輝かしく,賢い修羅場」であることを彼はじゅうぶん認識している。

☆ この曲がニュー・ロマンティックスの原型になったかどうかは評価が分かれる。ただ(ここまで過大評価するのも気恥ずかしいのだが)『クリムゾン・キングの宮殿』の「エピタフ」のような)そのアルバムを通して「その時代」を象徴する作品であることは疑いない。『リアル・ライフ』というアルバムが「ディフィニティヴ・ゲイズ」から「パレード」までの全曲が統一した美意識の中で創作されていることは「パンク/ニュー・ウエイブ」の時代が大きな曲がり角を曲がったことを何より雄弁に示している。「ショット・バイ・ボース・サイズ」は1978年のベスト・ロックンロール作品(「ローリング・ストーン」誌)かもしれないが,『リアル・ライフ』は偶然邦題が何気なしに使った「明日に撃て」のままのアルバム。つまり「ポスト・ニューウエイブ」の時代の号砲となったのだ。
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「You Never Knew Me」 (Magazine 1980年5月=アルバムリリース=)




You Never Knew Me
(Adamson/Formula/Devoto/McGeogh/Doyle)



I don't want to turn around
ぼくは別に物事をひっくり返そうと思ってる訳じゃないんだ
And find I'd got it wrong
ましてそれをより悪くしようなんて
Or that I should have been laughing all along
あるいはその事実にただ苦笑いし続けるような羽目になるなんて
You're what keeps me alive
君がいるから今のぼくがあるというのに
You're what's destroying me
その君が今やぼくの存在を壊し続けている
Do you want the truth or do you want your sanity?
君は真実って奴を知りたいのか,それともまともで居たいだけなのか?

You were hell
君は酷い状況だった
And everything else was just a mess
君の周囲にあった全てがメスのように君の心を切り刻んでいた
I found I'd stepped into the deepest unhappiness
ぼくは自分がとんでもないどつぼに嵌まりつつあるあることは分かっていた
We get back, I bleed into you
ぼく達は元に戻らなければ,君の心に息吹を吹き込まないと
Thank God that I don't love you
おお神様,ぼくは君のことが好きじゃないのさ
All of that's behind me now
いまぼくの背後にあるもののすべてが
Still seems to be above you
いまだに君の上に留まっているかのようだ

I don't know
ぼくは分からないよ
I don't know whether I ever knew you
自分が君のことをキチンと分かっていたのかどうか
But I know you
でもぼくは君のことが分かっている
I know you never knew me
ぼくには分かる。君がぼくのことを決して理解しようとしないことが
I don't know
どうしてだかは分からない
I don't know whether I ever knew you
ぼくが君のことをちゃんと分かろうとしていたのかどうか
But I know you
でもぼくには君のことが分かる
I know you never knew me
ぼくには分かる。君が僕のことを決して分かろうとしないことが

Do you want to
君はどうなんだ

Hope doesn't serve me now
望みの糸もいまや断たれてしまった
I don't move fast at all these days
ぼくはここのところ物事を急がせるような気持ちはすっかり消えてしまった
You think you've understood
君はたぶん分かっているつもりなんだろう
You're ignorant that way
でも君はそういうやり方については全くの無知なんだけれどもね

I'm sorry, I'm sorry, I'm sorry
ぼくが悪かったんだ,そうぼくのせいさ,本当に済まなかった
I'm sorry I can't be cancelled out like this
ぼくがすべての物事をこういうふうに帳消しにできなかったのは悪かった
We had to kill too much
ぼく達はあまりにもお互いを傷つけあってきた
Before we could even kiss
ほんの仲直りのキスをする前にさえ

I don't know
ぼくは分からないよ
I don't know whether I ever knew you
自分が君のことをキチンと分かっていたのかどうか
But I know you
でもぼくは君のことが分かっている
I know you never knew me
ぼくには分かる。君がぼくのことを決して理解しようとしないことが
I don't know
どうしてだかは分からない
I don't know whether I ever knew you
ぼくが君のことをちゃんと分かろうとしていたのかどうか
But I know you
でもぼくには君のことが分かる
I know you never knew me
ぼくには分かる。君が僕のことを決して分かろうとしないことが

Do you want to
君はどうなんだ
Do you want to
Do you want to
Do you want to
Do you want to
Do you want to

Songwriters
BARRY ADAMSON, DAVID TOMLINSON, HOWARD DEVOTO, JOHN MC GEOGH, JOHN E DOYLE
※DAVID TOMLINSONはDave Formulaの本名。

☆ イギリスのバンド,マガジン(Magazine)1980年発表の最高傑作『ザ・コレクト・ユース・オブ・ソープ』の頂点にある作品。「石鹸の正しい使い方」はアルバム内の別の曲に出てくる(笑)。石鹸が意味するモノは米国流の「ソープ・オペラ(昼メロ)」であり,その文脈からはこの曲が一番しっくりくる。

☆ このアルバムのコンセプトは「この時代に悩まされている人々」についての考察であると思われる。だからスライの「サンキュー」があったり,フョードル・ドストエフスキーの影響下にある「ア・ソング・フロム・アンダー・ザ・フロアボーズ」でLPが締めくくられていたりするのだが,この曲に焦点を絞れば「人が人と分かりあうことの難しさ」になると思う。それは単に冷めかけた恋人や夫婦の話ではなく,もっと普遍・一般的な感じがする。


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「Definitive Gaze」 (Magazine 1978年6月=アルバムリリース)



リアル・ライフ(紙ジャケット仕様)リアル・ライフ(紙ジャケット仕様)
(2007/06/27)
マガジン

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2009年3月19日
☆ マガジンという試みは,パンクの初期衝動とは無縁のものである。ハワード・ディヴォートはピート・シェリーと喧嘩別れしたわけではなく,ピートがピストルズのギグを見て脳天をかち割られたことを反復することを望まなかっただけのことだと思う。

☆ マガジンのセカンド・アルバムは当時のプレスに酷評された。曰く「労働者階級のピンク・フロイド」だとか。そのピンク・フロイドは「ウイッシュ・ユーワー・ヒア」から「アニマルズ」を経て「ウォール」に向かいつつあった。両者の比較には意味は無い。ただマガジンを結成するに当たってディヴォートの描いた音のありようは確かに「プログレッシヴ・ロック」の方向性を持っていた。

☆ ブリティシュ・ロックの歴史におけるマガジンの功績はパンクとニュー・ロマンティックスを結ぶ線上にある。前者は衝動的・反抗的・原始的であり,後者は商業的・耽美的そしてポップである。そこには「窯変」が必要であり,それを果たした原動力が,このアルバムであり,アルバムタイトルを歌詞に含むオープニング曲,つまりこの曲である。

2009年5月4日
☆ 3月に記事を書きかけて一時中断していたのだが,その前月に再結成ツアーが英国で行われていたようで,You Tubeにたくさん投稿がありビックリしている。オリジナルアルバムが出て31年経っているのだが,いまだにこの時代の最も重要な作品の一つだと確信している。そこで前回書きかけに戻り,レビューを行うことにする。

☆ マガジンという試みは,パンクの初期衝動とは無縁のものである。ハワード・ディヴォートはピート・シェリーと喧嘩別れしたわけではなく,ピートがピストルズのギグを見て脳天をかち割られたことを反復することを望まなかっただけのことだと思う。

☆ マガジンのセカンド・アルバムは当時のプレスに酷評された。曰く「労働者階級のピンク・フロイド」だとか。そのピンク・フロイドは「ウイッシュ・ユーワー・ヒア」から「アニマルズ」を経て「ウォール」に向かいつつあった。両者の比較には意味は無い。ただマガジンを結成するに当たってデヴォートの描いた音のありようは確かに「プログレッシヴ・ロック」の方向性を持っていた。

☆ ブリティシュ・ロックの歴史におけるマガジンの功績はパンクとニュー・ロマンティックスを結ぶ線上にある。前者は衝動的・反抗的・原始的であり,後者は商業的・耽美的そしてポップである。そこには「窯変」が必要であり,それを果たした原動力が,このアルバムであり,アルバムタイトルを歌詞に含むオープニング曲,つまりこの曲である。

☆ マガジンのデビュー曲「Shot By Both Sides」は,バズコックス時代のアウトテイクと言って良い作品だが,そこで聴かれるものは当時の米「Rolling Stone」誌が「この年発表されたロックンロールの最高作品」に選ぶだけの価値はある。この一曲でマガジンはポスト・パンクの方向性を示した。

☆ しかし,彼らが進めた「音楽」は,このシングルさえ凌駕する。それはパンクとプログレとの直接的な結合であり,アメリカン・ハード・プログレに対するオルタナティヴとしての「新しい波(New Wave)」であった。

2009年5月5日

☆ 英国で1980年のシーンをリードするのは,オルタナティヴとヘヴィ・メタルだ。この両翼の間にコマーシャルなムーブメント(例えばニューロマンティックス→ストック・エイトキン・ウォーターマン/ユーロビート)やインディーズ(例えばヴァージン,スティッフ,チズウィック,ラフ・トレード,ファクトリー,2トーン,クレプスキュールなど)が百花繚乱となった。

☆ マガジンには「弾倉」という意味があるが,パンク的な直線から歪んだキーボードとかき鳴らすギター,それを黙々と支えるベースとドラムス,そして個性の塊のようなヴォーカルが渾然一体となり,平坦な初期衝動の壁紙を打ち破って新たな地平を示した。この作品の価値はまさに1969年のキング・クリムゾンの登場と対を成すものである。



2009年5月6日

☆ アルバムヴァージョンはメッセージを簡略化するため,ギターとキーボードの作り出す渾沌は控えめになっている。ギターは時にバックでリズムを刻むかと思えば,いきなり正面に出てきてフレーズを弾く。キーボードはイントロでテンションを高めた後,一気に華やかに展開する。それをしっかり支えるベースと正確なドラムスが否が応でも散漫に成りそうなキーボードを引き締める。この1分余りの長いイントロに曲の世界が凝縮され,そこに抽象的な歌詞が短く添えられる。

Definitive Gaze(Howard Devoto, John McGeoch)




I've got this bird's eye view
and it's in my brain
clarity has reared
its ugly head again
so this is real life
you're telling me
and everything
is where it ought to be

I like your nerve
I like watching you
but I don't watch what I'm doing
got better things to do
so this is real life
you're telling me
now I'm lost in shock
your face fits perfectly

☆ 音楽の手法としては,パンク由来の極めてタイトな部分とプログレ由来の長く複雑な部分が絶妙にブレンドされている。間奏の展開が長く続いてもそれに続く歌詞は最早存在せず,そのままコーダへとなだれ込んでいく。それは「再現性のある音楽」としてのロック的な手法を駆使しながら,極めてデザイン的でもある。この音楽はパンクの領域から離れ,プログレッシヴ・ロックよりも同時代的で「モダーンな音楽」の態様を示し出した稀有な作品なのである。

☆ 2009年に「再生産」されたマガジンのステージを「YouTube」で見ることが出来たのは僥倖である(なにせ一度も来日しなかったから)。たぶんその半分はノスタルジイの類であっただろう。でも,30年経ってこの音楽がちっとも古びていないことを自分は確認できた。

2017年2月8日付記(英国版Wikipedia)
> Having toured much of the album through 1977 and early 1978, the group's then lineup of Devoto (vocals), McGeoch (guitar and saxophone), Adamson (bass), Formula (keyboards) and Martin Jackson (drums) recorded the album in sessions using the Virgin Mobile and at Abbey Road Studios between March and April 1978. The album was produced and engineered by John Leckie.

1977年から78年初めにかけて,ツアーを行いながらディヴォート(ヴォーカル),マッギオーク(ギター及びサクソフォン),アダムソン(ベース),フォーミュラ(キーボード)とマーティン・ジャクソン(ドラムス)のラインナップとなったグループは,78年の3月と4月にかけてファースト・アルバム制作のためのセッションをヴァージンの移動式スタジオやアビイ・ロード・スタジオを使いながら始めた。アルバムのプロデュースとエンジニアリングはジョン・レッキーが行った。

リアル・ライフリアル・ライフ
1,080円
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マンチェスターことはじめ(2) 「Boredom」(バズコックス 1977年1月29日=EPリリース)


Spiral Scratch EpSpiral Scratch Ep
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Boredom (Howard Devoto / Pete Shelley)



Yeah - well - I say what I mean
ああ,まあ,思ってること言うとすれば
I say what comes to my mind
思いついたら言うかもしれないけど
I never get around to things
そんなところまで辿り着きそうもないね
I live a straight - straight line
真っ直ぐに生きてるもんで,単純直線にね

You know me - I'm acting dumb
分かってるんだろ,ぼくが阿呆を演じてることが
you know the scene - very humdrum
そんな光景は見知っているだろ,酷い単調さを
boredom - boredom
それは退屈,退屈な人生ってヤツだ

I'm living in this movie
でぼくはこの人生って芝居に登場しているらしいんだが
but it doesn't move me
まったく感動のカケラってのもないぜ
I'm the man that's waiting for the phone to ring
目の前の電話が鳴り続けるのをじっと待ち続ける役さ
Hear it ring-a-ding-a-f***ing-ding
そいつがク*みたいにリンリン鳴り響くのを


You know me - I'm acting dumb
分かってるんだろ,ぼくが阿呆を演じてることが
you know the scene - very humdrum
そんな光景は見知っているだろ,酷い単調さを
boredom - boredom
それは退屈,退屈な人生ってヤツだ

You see there's nothing behind me
ぼくの後ろには何もないことなんて君だってお見通しだろう
I'm already a has-been
ぼくは既に終わった人であり続けるのさ
my future ain't what it was
将来なんてものはそうあってほしいものとは全然違ってて
well I think I know the words that I mean
ぼくは自分が口走っている言葉の意味はちゃんと分かってるぜ

You know me - I'm acting dumb
分かってるんだろ,ぼくが阿呆を演じてることが
you know the scene - very humdrum
そんな光景は見知っているだろ,酷い単調さを
boredom - boredom
それは退屈,退屈な人生ってヤツだ

B'dum - b'dum
タックツ,タックツ

I've taken this extravagant journey
ぼくはこうして壮大な人生の無駄遣いをしてるんだが
so it seems to me
ぼくにはそうとしか思えないんだが
I just came from nowhere
ぼくはどこから来たものでもなければ
and I'm going straight back there
元の場所に戻るものですらないらしい

You know me - I'm acting dumb
分かってるんだろ,ぼくが阿呆を演じてることが
you know the scene - very humdrum
そんな光景は見知っているだろ,酷い単調さを
boredom - boredom
それは退屈,退屈な人生ってヤツだ

So I'm living in this movie
それで僕はこの人生とかいう芝居に出ているらしいんだが
but it doesn't move me
まったく感動のかけらもない芝居にさ
so tell me who are you trying to arouse?
それなら誰が君をその気にさせるのか教えてもらいたいものだ
get your hands out of my trousers
で,きみの手がぼくのボトムスをずり下げてくれることにでもなるのならね

You know me - I'm acting dumb
分かってるんだろ,ぼくが阿呆を演じてることが
you know the scene - very humdrum
そんな光景は見知っているだろ,酷い単調さを
boredom - boredom
それは退屈,退屈な人生ってヤツだ

☆ 「Boredom」はディヴォートが歌って初期パンクスのアンセムのひとつになったが,歌自体はその後のピート・シェリーが歌い続けるバズコックスの曲の原型でもある。ディヴォートは言葉でシェリーは音とスピードで彼等の考える「パンク・ロック」のフォーマットを完成した。それはインディー盤という制約を超えて成功の域に達した数少ない作品であったが,このパンクというフォーマットはディヴォートの思惑の外にしかなかった。それで彼はバズコックスというよりパンクという刹那的シーンを「脱退」することになる。
(続く)※次回連載までしばらく間が空きます

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マンチェスターことはじめ(1) バズコックスはいかに結成されたか?


Spiral Scratch EpSpiral Scratch Ep
519円
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☆ 60年代のリバプールを再現するような70年代後半以降のマンチェスターのニューウエイブ・シーンは,一枚のインディーズEPから始まった。バズコックスの「スパイラル・スクラッチ」がそれである。存在し続けることでパンクを体現しているバズコックスを離れたハワード・ディヴォートが結成したマガジンは僅か4年ほどの活動期間に80年代のブリティッシュ・ロック・シーンに多大な影響を与えることとなった。この経緯をWikipedia(英語版)で追ってみる。

Buzzcocks~Wikipedia
Early years
Howard Trafford, a student at Bolton Institute of Technology (now the University of Bolton), placed a notice in the college looking for musicians sharing a liking for The Velvet Underground's song "Sister Ray". Peter McNeish, a fellow student at the Institute, responded to the notice. Trafford played electronic music and McNeish had played rock.
Howard Traffordはボルトン大学でヴェルヴェット・アンダーグラウンドの「シスター・レイ」みたいな曲が好きなバンド仲間を探していた。Peter McNeishは大学でその告知を見て返事を書いた。Traffordはエレクトロ・ロックを演奏したいと思い,McNeishはパンク・ロックをやりたかった。

McNeish assumed the stage name Pete Shelley, and Trafford named himself Howard Devoto, after a bus driver in Cambridge.
McNeishはピート・シェリー,ケンブリッジでバス運転手をした後にTraffordはハワード・ディヴォートと名乗り始めた。

In late 1975, Shelley and Devoto recruited a drummer and formed an embryonic version of Buzzcocks.
1975年,シェリーとディヴォートはバズコックスの萌芽となるバンドを始めた。

The band formed as Buzzcocks in February 1976 and performed live for the first time on 1 April 1976 at their college. Garth Davies played bass guitar and Mick Singleton played drums. Singleton also played in local band Black Cat Bone.
バズコックスが正式に結成されたのは1976年2月のことで,彼等の大学でのお披露目はその年のエイプリル・フールの日の演奏だった。ガース・デイヴィスがベースを担当し,ミック・シングルトンがドラムスを担当した。シングルトンはかつてブラック・キャット・ボーンというローカル・バンドで演奏していた。

After reading an NME review of the Sex Pistols' first performance, Shelley and Devoto travelled to London together to see the Sex Pistols in February 1976.
ニュー・ミュジカル・エキスプレス(NME)紙に載ったセックス・ピストルズの記事を読んで,76年2月,シェリーとディヴォートはピストルズを見にロンドンまで出掛けた。

Shelley and Devoto were impressed by what they saw and arranged for the Sex Pistols to come and perform at the Lesser Free Trade Hall in Manchester, in June 1976.
大いに感じるところのあった2人は,その年の6月,マンチェスターの Lesser Free Trade Hallにピストルズを招請した。

Buzzcocks intended to play at this concert, but the other musicians dropped out, and Shelley and Devoto were unable to recruit other musicians in time for the gig.
バズコックスはそのコンサートで演奏するつもりだった。しかし他のミュージシャン達が逃げ出してしまったので,シェリーとディヴォートは彼等の代役を探したものの間に合わなかった。

Once they had recruited bass guitarist Steve Diggle and drummer John Maher, they made their debut opening for the Sex Pistols' second Manchester concert in July 1976.
そこで彼等はベースのスティーヴ・ディグルとドラムスのジョン・マハーを招き,1976年7月にピストルズが二度目の公演を行った時のオープニング・アクト(前座)として,このラインナップでのデビュー・ライブを行った。

A brief clip of Devoto-era Buzzcocks performing The Troggs' "I Can't Control Myself" appears in the Punk: Attitude documentary directed by Don Letts.
ディヴォートの在籍した短い時期にバズコックスはトロッグスの「I Can't Control Myself」をパンク調で演奏した様子を Don Lettsは彼のドキュメンタリーの中で描いている。

In September 1976 the band travelled to London to perform at the two-day 100 Club Punk Festival, organised by Malcolm McLaren. Other performers included: the Sex Pistols, Subway Sect, Siouxsie and the Banshees, The Clash, The Vibrators, The Damned and the French band Stinky Toys.
1976年9月バズコックスはロンドンに行き,マルコム・マクラーレンが仕掛けた「100クラブ」の「パンク・フェスティバル(2日間公演)」で演奏した。対バンの面子はピストルズの他,サブウエイ・セクト,スージー&ザ・バンシーズ,クラッシュ,バイブレーターズ,ダムド,更にフランスのバンド,スティンキー・トイズがいた。

By the end of the year, Buzzcocks had recorded and released a four-track EP, Spiral Scratch, on their own New Hormones label, making them one of the first punk groups to establish an independent record label, trailing only The Saints' "(I'm) Stranded".
その年の暮れまでバズコックスは4曲入りEP「スパイラル・スクラッチ」を彼等自身のレーベルである「ニュー・ホルモンズ」から発表した。このEPは自主製作(インディー・レーベル)から発表された最初期の作品のひとつで,ザ・セインツの「(アイム)ストランデッド」が唯一その後を追う作品である。

Produced by Martin Hannett, the music was roughly recorded, insistently repetitive, and energetic. "Boredom" announced punk's rebellion against the status quo while templating a strident musical minimalism (the guitar solo consisting of two repeated notes).
マーティン・ハネットの制作(プロデュース)によるこの作品集は,大ざっぱに録音され,執拗なほどの繰り返しを持つ,熱のこもった演奏であった。「ボアダム(退屈)」という作品は,パンクスの現状維持的な大人社会に対する精神的暴動の様子を執拗なほど繰り返される音楽的ミニマリズム(2つの繰り返されるフレーズからなるギターソロに代表される)で宣言したものだった。
(続く)

Boredom (Howard Devoto / Pete Shelley)


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Author:deaconblue
「音楽っていいですね。そこには常に理屈や論理を超えた物語があり、その物語と結びついた優しい個人的背景がある。この世界に音楽というものがなかったら、僕らの人生は(つまり、いつ白骨になってもおかしくない僕らの人生)もっともっと耐え難いものになっていたはずだ。」(引用元:村上春樹「ポケット・トランジスタ」(『村上ラジオ』2001年6月8日所収))

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