2017-08

シュールの行方



初出:2014年6月30日

MONTAGEMONTAGE
(2013/04/10)
南佳孝

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☆ 78年の『サウス・オブ・ザ・ボーダー』からこのアルバムまでの間が坂本龍一のいわゆる「アルバイト期間」だった(笑)。そういえば佳孝氏のアルバムの中にはYMOになる前の三人が揃ってクレジットされている作品もある。だから『モンタージュ』のA面の殆どがテクノ(ハウスと言った方が良いかも)的な要素を反映させている。だけどテクノでタンゴをやるのはムーンライダーズの流れとかあがた森魚(ヴァージン・Vs)とかけっこう流行っていたんだな,あの頃のトーキョー。業界的には東京ロッカーズにばかり目が行ってたような気がするけども。

☆ 作曲:南佳孝と来れば組み合わせる作詩家はやはり松本隆か来生えつこになるだろう。松本=南は代表作がごまんとあるが,「モンロー・ウォーク」を代表とする来生作品も捨て難い。特にこの曲は彼も個人的に思い入れがあるようで,当時のMCでは詩の一説を引いて激しく同意していた(爆)。ちなみにこの路線では82年作品『Seventh Avenue South』に収録された「Down Beat」が最高傑作だと思うが,それはまた,別の話。

「コンポジション・1」 (作詩:来生えつこ / 作曲:南佳孝)



2017年3月17日追記
☆ 売野雅勇が河合奈保子の「エスカレーション」の詩を書いた時に,それまでの河合奈保子の路線をチェンジするという意味で遠回しではあったが来生えつこの作詩を貶していた(河合の前作品が来生の作詩。そういえば全く同じパターンを1年前に中森明菜でやっていた)。売野の発言はやや気負いがあって「それは違うだろ」と思ったのは,作家としての来生えつこが人(=歌手のキャラクター)を見て詩を書き分けていたことを知っていたからだ。気心の知れた南佳孝に書いた上の曲のシュールな詩を女言葉に書き換えれば,別にその当時の河合奈保子が歌っても全然違和感が無かっただろうし,その方が面白味もあったかもしれない。例えばこんなふうに。。。
" 遊び慣れてる オトコの言い草は 「カワイイ人なんだ」 笑わせないで "
こっちの歌詩の方が「エスカレーション」より,ずうっとシュールだと思うけど(笑)。

☆ シュールというコトバは,最近聞かない。もっともあの当時の用法だって,原意(シュールリアリズム [surréalisme] から転じた「現実を超越していて、真の理解が不能だというさま。(引用:コトバンク,出典元:大辞林 第三版)」)から相当離れていて,超現実主義というより,「物事(特に恋愛沙汰など人の感情に関すること)をクールに割り切ること,またはそういう言動」くらいの意味に使われていた(形容動詞的に「シュールな○○」という形でね)。

☆ この「シュール」は,今の「クール」や「スマート」につながる部分もあるけれど,どちらかというと今ではシュールの部分が単体で「チョー(なんとか)」と都合良く和訳されて使われている気がする。で,この論法でいくと「彼女はシュールだ」は「あの娘はチョー現実主義者だ」になるんだろうか?これって「ハルキスト」と同じくらい「座りの悪い」言葉だと思わない(爆)?

☆ あの時代(70~80年代初頭)で「シュールな人」って誰だっただろ?秋吉久美子や桃井かおりは近そうで違うな(何となく思ったのは「傷だらけの天使」のホーン・ユキがやってた探偵事務所の女の子かな)?とまあ,改めて考えてみると居そうで居ない気がする,こんなヒト。あの時代で殆ど居なかったとすれば今は絶滅ではなく元々想像上の存在だったのだと,それこそ「シュールに割り切った」方が良い気がする(苦笑)。

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「音楽っていいですね。そこには常に理屈や論理を超えた物語があり、その物語と結びついた優しい個人的背景がある。この世界に音楽というものがなかったら、僕らの人生は(つまり、いつ白骨になってもおかしくない僕らの人生)もっともっと耐え難いものになっていたはずだ。」(引用元:村上春樹「ポケット・トランジスタ」(『村上ラジオ』2001年6月8日所収))

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