2017-10

「Big Star Blues(ビッグスターの悲劇)」 (サザンオールスターズ 1981年6月21日)


初出:2006年2月18日

ステレオ太陽族ステレオ太陽族
2,365円
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☆ 『ステレオ太陽族』はサザンオールスターズの勢いがいちばん無かった時代の作品。だから駄作というのは当たらない。クレジットにも出てくる故八木正生氏の粋なアレンジが光る「ラッパとおじさん(Dear M.Y’s Boogie)」もあれば,高樹澪の(スクリーン)デビュー作で彼等が初めて音楽監督をした『モーニング・ムーンは粗雑に』から名作の呼び声高い「栞(しおり)のテーマ」まで佳曲が揃っている。

☆ しかし,先行シングルとしてカットされたこの曲「Big Star Blues(ビッグスターの悲劇)」は,まるっきり当たらなかった(Wikipediaのこの曲の解説にはご丁寧にも「サザンオールスターズのシングルとしてはオリコン最低位と最低売上枚数作品である。」と記載されている)。この曲の土台になったのは,映画『ア・ハード・デイズ・ナイト(ビートルズがやって来る ヤア!ヤア!ヤア!)』のアルバムに収録されていた "You can't do that" だ。一見違う曲のようだが,明らかに元歌を換骨奪胎しており,アレンジの隅々に元歌を想起させるような工夫を凝らしている。

☆ "You can't do that" という曲は,このアルバムが発売された当時,ビートルズのライブのセットリストには必ず入っている曲だった。たいていオープニングの「ツイスト&シャウト」に引き続いて演奏されたと思う。リード・ヴォーカルは勿論ジョン。



☆ そう。このシングルはジョン・レノンが射殺された後にその事件を土台にして書かれた作品だ。だから我々からすれば名前も書きたくない犯人の名前が歌われている。ジョンがヴォーカルの曲で,しかも"You can't do that"というタイトルの曲をわざわざ元歌に選んだところに桑田佳祐の衝撃と怒りを感じるが,そこは一筋縄ではいかない彼のこと,そんな内心を微塵も見せないおちゃらけ風の展開とわざとらしい掛詞などですっかり装飾されている。だからかもしれないが,当時はジョン・レノンのことを歌ったものだという話以上の評価はなかった。

☆ このアルバム発売時のサザンオールスターズのツアータイトルは「サザンオールスターズがやって来る ヤア!ヤア!ヤア!」だったし,最近は口にしないものの桑田のビートルズからの影響は,彼の家族との関係にも繋がっているので,けっこう奥が深い。まだジョンが存命の頃,桑田が評して「スケベの寸止め」という絶妙の言葉でジョンを褒め称えたことがあった。

☆ 冬季オリンピック(注釈:トリノ オリンピック 2006年2月10日~26日)の開会式にオノ・ヨーコが出て来て,ピーター・ゲイブリエルにジョンの代わりをして貰い「イマジン」を歌って貰ったのは,少しだけ複雑な気がする。ジョンはそこにいないことを思い知らされるからだ。しかし,この現実を生きながら見なかった彼は,幸せだったのか,不幸せだったのか。。。

You Can't Do That (Lennon–McCartney)



2017年8月5日付記



☆ サザンオールスターズというか桑田佳祐にはずいぶん蒙を啓かれた。彼がいなければセロニアス・モンクも弘田三枝子も聴くようにはならなかったと思う。モンクとミコってレンジの広さが彼のミュージシャンとしての幅だと思う(残念ながらサザンを聴く前からエリック・クラプトンは聴いていたのだが=笑=)。だからこのブログもどきにもときどき場違いにセロニアス・モンクが登場する訳だが,元は全てこのアルバムで桑田佳祐が八木正生の手を借りたことに始まり,その数年後にセロニアス自身が亡くなってしまったからでもある。



☆ セロニアスに関しては村上春樹もエッセイ集を残しているし,好きなものはやはり集まってくるのかなという気もする。





☆ 一読したが,当方からも言いたいことが有るような無いような。。。
この曲に関してひとつだけ指摘しておけば「そんなこたぁね(え)だろ」の後の歌詩は「よく見りゃ "What can I do" 」と歌っても何の違和感もないこと。"What can I do"=俺に何が出来る とは桑田の目から見たジョンがM.C.(殺害犯)に「言いたい台詞」が潜んでいるのである。そしてそれは "You can't do that" とも当然に対をなしていること。それくらい読んでから書いてくれよ(^^)。
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ビートルズ、ジョンとは

サザンオールスターズは、77年のイーストウエストで「女呼んでブギ」を歌うのを見て、「ふざけた学生バンドだな」という印象を持ったのを、今も引きずっています。

この曲も、バグルズをパロった題名に、沖田浩之の顔真似、「ちょっと待ってください、ねーちゃん」の歌詞といい、ただのおふざけソングと思っていたので、歌詞に小野洋子、ましてあの犯人が出てくると知って、かなり驚いています。

ユーキャンドゥザットとの関連も、まったく思いつかず、桑田のジョン好きは知っていましたが、ここまでやるのかと、びっくりです。

まあ、ジョン当人も、ヨーコが愛と平和の使者にまつりあげなければ、たまに受け狙いでバカなことをするロックンローラーだったでしょうから・・・。

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「音楽っていいですね。そこには常に理屈や論理を超えた物語があり、その物語と結びついた優しい個人的背景がある。この世界に音楽というものがなかったら、僕らの人生は(つまり、いつ白骨になってもおかしくない僕らの人生)もっともっと耐え難いものになっていたはずだ。」(引用元:村上春樹「ポケット・トランジスタ」(『村上ラジオ』2001年6月8日所収))

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