2017-11

「King of the World」 (Steely Dan 1973年7月=アルバムリリース)


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1,851円
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King of the World(Walter Becker / Donald Fagen)


Hello one and all
やあ諸君
Was it you I used to know
諸君はぼくがかつて知っていた君達であろうか
Can't you hear me call
ぼくの名を呼ぶ声が聞こえないのかな
On this old ham radio
この古臭いアマチュア無線で
All I got to say
ぼくが話したいことはといえば
I'm alive and feeling fine
自分はまだ生きていて,気分上々ということだ
If you come my way
もし君達が僕を捕まえにやって来るのなら
You can share my poison wine
ぼくが残した毒入りワインでも分かちあってもらおう

CHORUS:
No marigolds in the promised land
約束の土地に咲くマリーゴールドはもはや無く
There's a hole in the ground
大地には穴ぼこが残されているだけだ
Where they used to grow
それらのものがかつて生まれ育ったしるしとして
Any man left on the Rio Grande
リオ・グランデ川の流れに乗って去って行った者こそが
Is the king of the world
世界の王たるものであったのだ
As far as I know
ぼくが知るのは,そういうこと


I don't want your bread
ぼくは別に君のパンが欲しいのではない
I don't need your helping hand
ぼくは別に君の助けを借りるつもりもない
I can't be no savage
ぼくは別に獰猛な人間でもなければ
I can't be no highwayman
その辺に潜んでいる追剥ぎの仲間でもない
Show me where you are
何処に居るのか知らせてくれ
You and I will spend this day
この日を二人で過ごしたいのだ
Driving in my car
ぼくの車を走らせて
Through the ruins of Santa Fe
サンタ・フェの廃墟を抜けて進もうじゃないか

CHORUS

I'm reading last year's papers
ぼくが読んでいるのは去年の新聞で
Although I don't know why
どうしてだかは知らないけれど
Assassins cons and rapers
殺し屋とか詐欺師とか強姦魔なんて連中は
Might as well die
せいぜいくたばっちまった方が良いのさ

If you come around
もしも君がやって来たら
No more pain and no regrets
これ以上痛みや後悔を感じることは無くなるだろう
Watch the sun go brown
太陽が茶色に灼けるのを見て
Smoking cobalt cigarettes
蒼空に紫煙を燻らせていればいいのさ
There's no need to hide
いまさら逃げ隠れする必要なんかないだろう
Taking things the easy way
さっさとなるようになっちまえばいいんだ
If I stay inside
もしぼくがここに潜伏していたとしても
I might live til Saturday
土曜日までは確かに生きていられるかもしれないね

CHORUS

Personnel
Steely Dan
Donald Fagen – acoustic and electric pianos, synthesizer, lead vocals
Walter Becker – electric bass, harmonica, background vocals
Denny Dias – electric guitar, mixing
Jeff "Skunk" Baxter – electric and pedal steel guitars
Jim Hodder – drums, percussion, background vocals

Additional musicians
David Palmer, James Rolleston, Michael Fennelly – background vocals

Notes(From Wikipedia English)
In his 1999 autobiography A Cure for Gravity, British musician Joe Jackson described Countdown to Ecstasy as a musical revelation for him, that bridged the gap between "pure pop" and his jazz-rock and progressive influences, while furthering his attempts at songwriting.

☆ スティーリー・ダンのセカンド・アルバム『エクスタシー(Countdown to Ecstasy)』の掉尾を飾る隠れ名曲。70年代後半の華麗で奇妙なスティーリー・ダン・ワールドの萌芽が早くもこの曲の中にはある。ホーボー(流れ者)とか無法者という存在は西部劇の時代から大恐慌の時代に至るアメリカのアウトサイダーの典型であり,ベッカーとフェイゲンが曲の題材によく使っている。もっともダンの音楽歴が進むにつれてそれはアップデイトされ,最後は60年代末のサンフランシスコから70年代末のカリブ海に至る華麗なるドラッグ・ワールドと化してしまうのだが。

☆ ところで曲の中に出てくる
No marigolds in the promised land
という一節が気になっていろいろ見ていたら,最近読んだこの本に(またそれかよ)...


☆ この本の中でエピソードとして出てくる「死者の日(Día de Muertos)」の花がマリーゴールドで,Wikipediaの「死者の日(メキシコ)」の解説には「メキシコでは死者の花とも呼ばれるマリーゴールド」なんて紹介のされ方をしている。逆にWikipediaの「マリーゴールド」の解説には「メキシコでは死者の日の祝祭を彩る花として大量に栽培される」と書いてあった。

☆ アメリカの南部は米墨戦争(1846-48)まではメキシコ合衆国の領土だった。リオ・グランデ川(本当はリオが「川」でグランデが「大きな」だから,サハラ砂漠同様に重言になってしまう)は,その流域が元のメキシコ(今のアメリカ)から今のメキシコにわたっているので,当然メキシコの文化的なものの影響は色濃く残っているだろう。そう考えると「世界の王」たるお尋ね者の主人公はリオ・グランデ川を辿ってメキシコに逃げようとして追っ手に包囲されている(なんだか「明日に向かって撃て!」みたいだな)という感じが出てくる。

☆ この北アメリカ的なものと南アメリカ的なものの出会いはダンの音楽(詩)の中では有力な世界観を持っており,それは『ガウチョ』まで一線で辿ることができると思う。
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「You're sixteen (you're beautiful and you're mine)」 (Jonny Burnette 1960,Ringo Starr 1973)


初出:2011年11月19日
25 Greatest Hits25 Greatest Hits
(2005/05/31)
Johnny Burnette

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☆ ジョニー・バーネットは1950年代後半にロカビリー歌手として大人気を博した。彼自身は予期せぬ事故で亡くなってしまうが,その代表作の一つに1960年作品「You're Sixteen(you're Beautiful and you're mine)」がある(全米最高位8位,全英最高位3位)。
You're sixteen(you're beautiful and you're mine)
(Robert B. Sherman, Richard M. Sherman)


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(2008/06/18)
リンゴ・スター

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☆ このロックンロール作品を1973年に自分の名を冠したソロ作でカヴァーしたのがリンゴ・スターで,このカヴァーは彼の代表的なヒット曲の一つになった(全米No.1 1974年1月26日~2月1日)。
You're sixteen (Robert B. Sherman, Richard M. Sherman)


Ho!

You come on like a dream, peaches and cream,
Lips like strawberry wine.
You're sixteen, you're beautiful and you're mine. (mine, all mine)

You're all ribbons and curls, ooh, what a girl,
Eyes that sparkle and shine.
You're sixteen, you're beautiful and you're mine.
(mine, all mine, mine, mine)

You're my baby, you're my pet,
We fell in love on the night we met.
You touched my hand, my heart went pop,
Ooh, when we kissed, I could not stop.

You walked out of my dreams, into my arms,
Now you're my angel divine.
You're sixteen, you're beautiful, and you're mine.

You're my baby, you're my pet,
We fell in love on the night we met.
You touched my hand, my heart went pop,
Ooh, when we kissed, I could not stop.

You walked out of my dreams, into my car,
Now you're my angel divine.
You're sixteen, you're beautiful, and you're mine.
You're sixteen, you're beautiful, and you're mine.
You're sixteen, you're beautiful, and you're mine.

All mine, all mine, all mine.
All mine, all mine, all mine.
All mine, all mine, all mine, all mine, but I do.
(You are mine!)

What shall we do with the drunken sailor?
What shall we do with the drunken sailor?

PS.上の歌詩のうち最初のひと言は掛け声。最後の2行は曲のコーダでリンゴが呟いている言葉。

☆ さて,この曲を若いころ聴いていたのがビリー・オーシャンで(バーネット盤だったら10歳なので,おそらくリンゴ盤を23,4の頃に聴いたのだろう),上の歌詩のある部分が耳に残った。それは "You walked out of my dreams, into my car" という部分だったのだが,長じて人気ミュージシャンとなったビリーはこれにヒントを得たタイトルでシングルを発表。代表曲「カリビアン・クイーン」に続く2枚目の全米No.1ヒットとなる。それがこの「Get Outta My Dreams, Get into My Car」。もちろんタイトルだけが多少関係があるだけで曲は何の関係もない。



☆ ちなみにこのエピソードは,確かまだケーシー・ケイサムがナビゲートしていた頃のアメリカンTop40で聞いた。ケーサムはバーネットの曲とリンゴの曲をかけたあとでこの曲を紹介していたと記憶する。

2017年11月15日付記
☆ ビリー・オーシャンが全米1位を獲ったのは1988年4月9日と翌週16日。前後のNo.1もマイケル・ジャクソン(「Man in the Mirror」)とホイットニー・ヒューストン(「Where Do Broken Hearts Go」)で,ブラック/ダンス・コンテンポラリーの黄金期だ。

☆ この曲の作詩作曲者のシェーマン兄弟は20世紀のポピュラー音楽(劇音楽・映画音楽含む)に多大な貢献をしてきた。ジョニー・バーネット版「You're sixteen」のYouTubeを見れば(聴けば),この曲のしっかりした楽譜(スコア)があることが良く分かる。おそらく「ロックンロールの時代」の音楽は直前のポピュラー音楽に比べてスピーディーであることが特徴となっていたことがここからも分かる。

☆ 歌手としてのリンゴ・スターはビートルズの中では風変わりな曲を歌っている(カントリー曲「アクト・ナチュラリー」,スローバラード「グッド・ナイト」,そしてビートルズ時代唯一のNo.1曲「イエロー・サブマリン」などなど)。ソロになってからもスタンダード集だったりカントリー集だったりとほかの三人がやってない(かつ彼が興味のあった)曲を歌うことをやってきた。と言いながら彼はビートルズ後に3曲のNo.1曲を持っており,シングル曲ミュージシャンとしてはむしろ70年代前半の方がよほど人気があった(笑)。



☆ 「You're sixteen」では,原曲の「ロックンロールのスピード」を敢えて落とし,途中でジャグ・バンド(合衆国南部で興った)につきものの楽器「カズー」のような音(ポール・マッカートニーが「マウス・サックス」という形で「カズーふう」の音)を出している。このカントリーっぽいアレンジとリンゴの「へたうま」ヴォーカルがピッタリ合致したことや,前作「(想い出の)フォトグラフ」がジョージ・ハリソンとの共作で彼の2作目のNo.1だったことなどから,「ビートルズ再結成?」説が大いに盛り上がっていたこともあって,No.1になったのではないかと思う。

NOTES
全米No.1:1974年1月26日(直前のNo.1はニルソン「Show and Tell」,直後のNo.1はバーブラ・ストライサンド「The Way We Were(追憶のテーマ)」),全米はビルボード/キャッシュボックスともNo.1,ニュージーランドでもNo.1になっている。他の国の最高位は以下のとおり。(2位:カナダ,アイルランド、4位:英国、6位:豪,蘭,ノルウェー,スイス、19位:西独、74位:日本)
☆ 本邦の74位はどうかと思われるかもしれないが,新・三人娘、新御三家だけでなく演歌も強力だった歌謡曲全盛時代にオリコンのチャートに入っただけでも大健闘といえる。ちゃんと売れたのだ(爆)。

PERSONEL(ウィキペディア日本版より)
リンゴ・スター - ボーカル、ドラムス
ニッキー・ホプキンス - ピアノ
ジム・ケルトナー – ドラムス
ジミー・カルヴァート - ギター
ポール・マッカートニー - マウス・サックス
クラウス・フォアマン - ベース
ハリー・ニルソン - バッキング・ボーカル
ヴィニ・ポンシア - ハーモニー・ヴォーカル


☆ 個人的な話で恐縮だが,ちょうどこの頃ポピュラー音楽(ロックなど)を聴き始めた時期であり,世の中(当時の日本のポピュラーファンの世界)はハード・ロックとプログレッシヴ・ロックとビートルズファンとそのほかのファン(カーペンターズだったりフレンチ・ポップスだったり,イージーリスニングだったり)で成り立っていたような気がする(笑)。この曲はビートルズ入門編にはちょうどお誂(あつら)え向きだった気がする。ジョンとポールがいちばん難しかった時代だったでもあるし。

☆ 80年代の初めごろ糸井重里が彼のラジオ番組でRCサクセションの「スロー・バラード」を「高校生(カップル)のラブ・ソング」と絶妙な比喩をしたことがあったが,この曲の歌詩もこの当時(60年代前半)流行った「スウィート・シックスティーン系」のもので他愛ないと言えばそうだけど,まあ確かに可愛い歌詩ではあると思う(笑)。

☆ しかしビリー・オーシャン。いきなり曲の出だしで "Who's that lady?" だって(笑),おいおいそれは15年くらい前のアイズレーズの曲じゃないか(爆)。

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愚かにも彼はそれを信じて 「What A Fool Believes」 (The Doobie Brothers 1979年1月)



初出:2011年10月17日(大幅改稿)

☆ 異論があるのを承知で書くならば,ドゥービー・ブラザーズというバンドは,マルチ・リズムでソウル・ミュージックの影響を反映させたアメリカン・ロック・バンドである。このコンセプトで見てみると「チャイナ・グローブ」や「ザ・ドクター」のようなトム・ジョンストン時代の曲でもこの曲でも同じ地平にある。ましてモータウンの代表的チーム、ホランド/ドジャー/ホランドの「君の腕に抱かれたい」をロックンロール・ヴァージョンにしてカヴァーしている事実は,このことを補強こそすれ否定するものではない。

☆ この曲の特徴はマルチ・リズムを生かした独特のシンコペーションにあり,すぐに亜流が出てきたがリズムパターンとして定着するまでには至らなかった。なんだかんだ言っても,やはり難しいのだろう。ところで曲の作者であるケニー・ロギンスとマイケル・マクドナルドが演奏したヴァージョンを以前聴いたことがあるが,そこではドゥービーズの特徴であるマルチ・リズムを抑えた,よりAOR的なアプローチで演奏されている。ロギンスにはこちらの方が心地良かったのだろう。

2017年11月13日付記

What A Fool Believes (Michael McDonald / Kenny Loggins)



He came from somewhere back in her long ago
彼は彼女がまだ彼の許にいた大昔の記憶に戻っていった
The sentimental fool don't see
その愚かしい感傷は彼に気付かせなかったのだ
Tryin' hard to recreate
もはや元に戻るには遅すぎることや
What had yet to be created once in her life
かつて彼女の暮らしの中にあったものを
再び生み出すことなどできないことを

She musters a smile
彼女は彼の「昔は良かった」話に
For his nostalgic tale
なんとかして微笑みを返すけれど
Never coming near what he wanted to say
決して彼が言い出したいことには近づこうとしない
Only to realize
はっきり分かっていることがひとつある
It never really was
もうそんな昔のふたりには決して戻れないということ

She had a place in his life
彼女にもかつては彼の暮らしの中に居場所があった
He never made her think twice
そのことを彼は一度だって振り返ろうとしなかったけれど
As he rises to her apology
彼が彼女の謝罪の言葉を聞いて思わず立ち上がった時に
Anybody else would surely know
周囲の者は確かに分かったのだ
He's watching her go
彼女が出ていくのを彼は見送ることしかできないことを

But what a fool believes he sees
それなのに愚かにも彼は信じているのだ
No wise man has the power to reason away
誰にその理由を放置する力があるというのか
What seems to be
物事がそのように流れていくその先には
Is always better than nothing
虚しさの他に何があるというのか
And nothing at all keeps sending him...
そして全てを失ってしまう。そのことが彼を...

Somewhere back in her long ago
彼女を遠い昔の日々に戻す時
Where he can still believe there's a place in her life
そこには確かの彼女の居場所もあったと今でも信じていいけれども
Someday, somewhere, she will return
だから,いつか,どこかで,彼女は彼の許に還ってくると彼は信じてしまう

She had a place in his life
He never made her think twice
As he rises to her apology
Anybody else would surely know
He's watching her go

But what a fool believes he sees
No wise man has the power to reason away
What seems to be
Is always better than nothing
There's nothing at all
But what a fool believes he sees...

Personnel
Patrick Simmons - guitar, vocals
Jeff "Skunk" Baxter - guitar
Michael McDonald - keyboards, synthesizers, lead vocals
Tiran Porter - bass guitar, vocals
John Hartman - drums

Additional players
Bill Payne - synthesizer (with Michael McDonald)

最高位
No.1:全米('79/4/14)、全加
第5位:ニュージーランド、第10位:蘭、12位:豪、28位:アイルランド、31位:全英

☆ この曲が80年のグラミーで最優秀曲(Song of the Year and Record of the Year)を獲った時,一部に異論があった。確かにどちらかの賞は他のミュージシャン(敢えて名前は挙げないが大変貌を遂げた黒人グループのバラード曲とだけ指摘しておく)が獲っても相応しかったと思う。ただ,この曲の持つ意味はシンコペーションを特徴的に使った曲のアレンジにあったのではなく,その歌詩が時代の雰囲気を良く示していたからではないかという気がする。それはこの年の暮れに封切られたこの映画に色濃く出ていないだろうか?


☆ ドゥービーズがグラミーを獲ったのは,まさにこの時代の空気に乗ったからで,いかにライオネル・リッチーがその後の時代を代表する優れたバラード・シンガーに成長したからといって,この「空気」には勝てなかったのかもしれないと思うのだ。

Kenny Loggins - What a Fool Believes (from Outside: From The Redwoods)


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「Simone」 (Boz Scaggs 1980年4月=アルバムリリース)



初出:2011年10月24日
☆ 『Middle Man』はデヴィッド・フォスター色が非常に強い作品で,このアルバムから「Look What You've Done To Me(燃えつきて)」の収録されたLP盤の『Hits!』が出る頃までが,ボズがAOR的に持てはやされた時期だった(そのあまりの異常な盛り上がりに渋谷陽一はやっかみ半分で「アメリカの五木ひろし」のあだ名を献上したほどである(爆))。

Simone (David Foster / Boz Scaggs)


☆ 既にどこかで書いたが,この曲は最初のリリースでは「夜のシモーヌ」という邦題が付いていて,今は「シモン(僕の心をもてあそぶ)」というタイトルに変わっている。80年代の終わり近く802の誕生する前の関西にいた時期にFM大阪の平日夜のミニ帯番組でこれがテーマ曲になっていて毎日のように聞いていた。だから個人的には「夜のシモーヌ」の方がしっくり来る。

☆ 『Middle Man』にも「You Can Have Me Anytime」のような珠玉のバラード(この曲のコーダでのカルロス・サンタナのソロは素晴らしい!)が収められているので,渋谷御大のくすぐりも故なしとは言わないが,この時期のボズ・スキャッグスはむしろこうした曲の方を好んだような気がする。また,アメリカのマーケット(ステーションでのエアプレイという意味)でも「Breakdown Dead Ahead」がシングル・カットされていることからも同様のことがうかがえる気がする。

PERSONEL
Boz Scaggs – guitar, vocals
David Hungate – bass
Jeff Porcaro – drums
David Foster – synthesizers, keyboards, string arrangements
David Paich – additional synthesizer
Larry Fast – synthesizer programming
Michael Boddicker – synthesizer programming
Steve Porcaro – synthesizer programming
Paulette Brown – background vocals
Venetta Fields – background vocals
Bill Thedford – background vocals

2017年11月11日追記
☆ 最近は本日(11/11)のことを独り身の日と言うらしいが,独り身の20男(当時)が営業日報を書きながら,さて明日は何処に訪問しようか(真面目な意味でもそうでない意味でも),いやその前にこの後どこのスナックでクダをまこうかなどと考えながら疲れ切った頭と身体でぼんやり聞いていたのがこの曲だったりする。

☆ デヴィッド・フォスターの作品はどことなくリリカルで,この時代(アルバムリリース時ではなく,この曲を営業日報を書きながら聞いていた当時はいわゆるバブルに入っていた時期でもある)の雰囲気に実に良く合っていた。もちろん現実にシモーヌどころかスナックのお姐さんだって振り向きもしないのだから,悪酔いする前に2、3度マイクをお借りしたあとはニッコリ笑って明朗会計でおうちに帰るというのがオチだった。

☆ 最初の記載に書いたように『ミドル・マン』の評価は高くない。どちらかと言えば「売れ線狙い」と解されたようで(そりゃそうだ。いくらなんでもこの曲を「ローン・ミー・ア・ダイム」みたいな曲と比較する方が無体というものだ(爆)),AMGその他のレイティングは3.0とすこぶる低い。そこで物申すわけだが(苦笑)歌うたいとしてのスキャッグスの真骨頂はこのフォスターの甘いあま~いサウンドで光るのである。類比するならブライアン・フェリーにおける『ベイト・ノワール』(1987年10月:ちなみにAMG評価は4.5)みたいな位置にあると思う。

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聖子ママは大忙し(「Lady Madonna」(The Beatles 1968年3月15日)



Lady Madonna (Lennon–McCartney)


Lady Madonna
聖子ママは大忙し
Children at your feet
足元で子供たちは大暴れ
Wonder how you manage to make ends meet
どうやってこの決着つけようかしらと大弱り

Who finds the money
ところでお金の当てはあるの?
When you pay the rent?
何時になったら家賃が支払えるの?
Did you think that money was heaven-sent?
まさかお金は天からの授かりものなんて思ってなかったでしょ?

Friday night arrives without a suitcase
金曜の夜にはスーツケースがどっかにいっちゃってるし
Sunday morning creeping like a nun
日曜の朝は尼さんみたいにそっと寄ってくるし
Monday's child has learned to tie his bootlace
月曜日には子供達は靴紐の結び方を身を以て学ぶしかないので
See how they run
彼らが慌てて走り出すのを見てごらん

Lady Madonna
聖子ママは大忙し
Baby at your breast
胸元には赤ん坊がしがみついてる
Wonders how you manage to feed the rest
さてどうやって残りのおっぱいをやろうかなと思いながら

Ba-ba-ba-baaa ba-ba ba-ba-baaa
Ba-ba-ba-baaa ba-ba baaa ba-baa ba-baa
Wa-ba-ba-baaa ba-ba ba-ba-baaa
See how they run

Lady Madonna
聖子ママも一休み
Lying on the bed
寝台に横に伸びては
Listen to the music playing in your head
ヘッドフォンでお気に入りの曲を聴いている

Tuesday afternoon is never ending (ba-ba-ba-baaa)
火曜日の午後はいつまでも終わらなかったし
(Ba-ba ba-ba-baaa)
Wednesday morning papers didn't come (ba-ba-ba-baaa)
水曜はポストに朝刊が来てないし
(Ba-ba baaa ba-baa ba-baa)
Thursday night your stockings needed mending (ba-ba-ba-baaa)
木曜の夜には靴下のほつれを直さないとまずくなってるし
(Ba-ba ba-ba-baaa)
See how they run
そんなドタバタ具合を見てやってよ

Lady Madonna
Children at your feet
Wonder how you manage to make ends meet

☆ タイトルはMadonnaは聖母だから日本語でいちばん座りが良いのが「聖子」というだけの話。たった2分16秒で嵐を呼ぶこのドタバタぶりはママドルと呼ばれた松田聖子というよりも野原みさえの方が明らかに適任(爆)。しかしビートルズ(むしろポールと特定すべきで,どう考えてもジョンがあの時期にこんな詩を書けるはずがない)が凄いのは,一方で愛だ平和だとやっていながら,ごく平凡な主婦の毎日をサラッと絵にした曲を作ってしまうところ。勿論バランスを取るためにB面にジョージの「ジ・インナー・ライト」を入れるというシングルの妙もまたビートルズだった(笑)。



PERSONEL
The Beatles
Paul McCartney – lead vocal, piano, bass, handclaps
John Lennon – backing vocal, lead guitar, handclaps
George Harrison – backing vocal, lead guitar, handclaps
Ringo Starr – drums, drums (with brushes), handclaps

Additional musicians and production
Ronnie Scott – tenor saxophone
Bill Povey – tenor saxophone
Harry Klein – baritone saxophone
Bill Jackman – baritone saxophone
George Martin – production
Ken Scott – engineering
Geoff Emerick – engineering

最高位
No.1:英、墺、豪、蘭、スイス、ニュージーランド
第2位:加、ノルウェー、西独
第3位:ベルギー、アイルランド
第4位:米(ビルボード)

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「たどりついたらいつも雨ふり」 (ザ・モップス 1972年7月5日)




☆ 最近,東芝EMIだったレーベルからの再発がかなりイイトコロまで進んでいて,何度か目のRCサクセション(フォーク時代)だけでなく,モップスのカタログも再発に入っているようだ。

☆ ぼくはサイケデリックロックをやっていた頃のモップスは聴いていなかったが,この曲はほぼリアルタイムで聴いている。たぶん氷室京介も子供の頃にこれを聞いて後からカヴァーする気になったんだろうと思う。それくらい「決まってる」曲だった。いま気付くのはAメロの部分が7・5調の変形(7語が8語)であること。このやまとことばの語配列がメロディに綺麗に乗っていること。そしてそれをBメロで短い語を連ねてそれをだんだん長くして最後は字余りに等しい言葉数とブルース・ロックの迫力で崩していく「崩し方」が格好良いのである。

☆ 曲の来歴についてはWikipediaを少し引用する。
> 元々は吉田拓郎がアマチュア時代に所属していたGSバンド「ダウンタウンズ」の曲で『第2回ヤマハ・ライト・ミュージック・コンテスト』に出場した際に演奏していた曲である。 タイトルも「好きになったよ女の娘」だった。
> 1970年前後はロックよりもフォークの方が、言葉を音楽に乗せるという点で先行していたため、フォークシンガーから楽曲提供を受けて、言葉を大事にする部分を残してロックを作ってみたらどうだろう、というホリプロのプロデューサー・奥田義行の発案を受けてアルバム『モップスと16人の仲間』(1972年7月5日発売)が製作された。 この中で吉田が上記の「好きになったよ女の娘」の歌詞を書きなおして提供した「たどりついたらいつも雨ふり」が飛び抜けて出来が良かったため、アルバム発売と同時にシングルカットして出した。オリコン週間チャート最高26位ながらも、約14万枚を売り上げ、モップス最大のヒットになった。1973年の公開の日活映画「濡れた荒野を走れ」では挿入曲として使用された。 星勝は「モップスが模索してきた日本のオリジナル・ロックがこの作品で、ある程度到達できた」と話している

「たどりついたらいつも雨ふり」 (作詩・作曲:吉田拓郎 / 編曲:モップス)


☆ 当時のぼくの認識は「拓郎の曲をモップスというロック・バンドが歌った曲がヒットしている」というものだった。どちらかというと作家としての吉田拓郎を評価するという感じに近かった。でも鈴木ヒロミツのヴォーカルは迫力があったし格好良いと感じたのも間違いない(繰り返すがヒムロックもそう思ったと思う)。

☆ その後の彼は刑事ドラマで一躍有名になったし,NHKの歌番組の司会(今でいうMCに近い)をやって,たぶん彼がサイケデリックなGSをやっていたことやそのバンド名が60年代の大人が若者を小馬鹿にして顔を顰めながら言った台詞「なんだお前,モップのような頭(髪型)をして!」からつけられたことなんか知らなかっただろう10代~20代前半の女性歌手と並んでいたことは印象が残る(一番の得意技は岩崎宏美と太田裕美を両手に花にして...(以下略))。

☆ モップスがホリプロの非歌謡曲系マネジメントに乗っていたことが,星勝を名プロデューサーにし,RCサクセションを結果的に世に出す遠因にもなった。この時期のショウビズの動きはロック・メディアにとって語られない部分かもしれないがきちんと研究すべきだと思う(まあそんなことをする暇人は何処にも居そうも無いのが残念だが)。


☆ 略のところのこたえ:宏美と裕美でひろみTwo

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「The Headmaster Ritual」 (The Smiths 1985年2月11日=アルバムリリース)




☆ 1984年頃にはザ・スミスがいちばん注目されるべきバンドだという声がブリティッシュ・ニュー・ウエイブ小僧の間では定番になりつつあった(当然そういう連中はデュラン・デュランやカルチャー・クラブのブームをせせら笑っていた)。自分が手にしたのはスミスのスタジオ・アルバムとしては2作目になる『ミート・イズ・マーダー』だった。このアルバムを購入した経緯は以前何度か書いた柄にもないデートの途中の宇田川町時代のタワレコである(要するに女の子に精一杯粋がったワケよ^^;スミスとTFTで=自爆=)。

☆ そっちの方の哀れな顛末な何回となく書いたので省略するとして(再爆),問題はその日買った2枚の英国盤(そうです粋がってわざわざ英国盤で買った)だった。よく考えると2枚とも英国のバンドのスタジオ盤としては2作目のアルバムだった。片方(つまり『ミート・イズ・マーダー』)は本国では絶大な評価を受けたが(No.1)他はさっぱり(下記参照)。他方(『Songs From The Big Chair』)は英米をはじめ世界中でこのデュオ・ユニット(ティアーズ・フォー・フィアーズ)の大出世作となった。作品の立ち位置が全然異なるので単純な比較はできないが,どちらも1980年代を代表する英国ロックの名盤には違いない。という訳で「転んでも只では起きなかった」という負け惜しみを書いておく(再々爆)。

The Headmaster Ritual (Morrissey / Johnny Marr)


Belligerent ghouls
run Manchester schools
spineless swines
cemented minds
Sir leads the troops
jealous of youth
same old suit since 1962
he does the military two-step
down the nape of my neck
I wanna go home
I don't want to stay
give up education
as a bad mistake
mid-week on the playing fields
Sir thwacks you on the knees
knees you in the groin
elbow in the face
bruises bigger than dinner plates
I wanna go home
I don't want to stay

Belligerent ghouls
run Manchester schools
spineless bastards all
Sir leads the troops
jealous of youth
same old jokes since 1902
he does the military two-step
down the nape of my neck
I wanna go home
I don't want to stay
give up life
as a bad mistake
please excuse me from the gym
I've got this terrible cold coming on
he grabs and devours
kicks me in the showers
and he grabs and devours
I want to go home
I don't want to stay

☆ モリッシーの歌詩はサリンジャーのホールデン・コールフィールド (Holden Caulfield=The Catcher in the Ryeの主人公)を否が応でも思い出させる。彼は自分自身を投影したと思われるこの主人公の口を駆使して彼が入れられた寄宿学校の全て(それはホールデンの口癖で言えばPhoney(えせ,いんちき,嘘っぱち)に値する)を否定する。ただホールデンが多少なりとも(大いに屈折はしているのだが)強がりを示そうとする=そしてより酷い失敗に繋がっていく=のに対し,この主人公は「イヤよイヤよ」と呟きまくっているのだ。

☆ それは当時増井修などが指摘していたように「弱者であることを最後の武器(拠り所)にする」というモリッシーの方法論の顕われと言って良く,ロックをオトコジェンダー的なものから解放する働きを示したとも言える。このダイバーシティを遥か昔に先取りする動きはパンク/ニューウエイブの中でもトム・ロビンソンや(やや逆説的ながら)イアン・デューリーらに見られていたが,スミスはそれをはっきり旗印として掲げたことで少なくともカルト・ヒーロー(実態はそれ以上であるし,音楽的貢献は計り知れない)としての地位を確立したとも言えると思う。

☆ 音楽的な面ということでいえば,レコードに針を落として最初にこのイントロが聞こえてきた時,正直ノックアウトされた。アコギのイントロが凄い曲はたくさんあるが(自分の好みでいえばアイズレー・ブラザーズ「ハーヴェスト・オブ・ザ・ワールド」など),この曲のイントロはその中でも1,2を争う傑作だと思う。



☆ なぜか英語版のWikipediaにも書いていないが,この曲の最も優れたカヴァーはレディオヘッドのそれで,YouTubeのコメント欄にもそういうコメントは少なからずあった。

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「Lido Shuffle」 (Boz Scaggs 1977年2月=米,4月15日=英)




☆ むかし『シルク・ディグリーズ』について書いた時にも触れたが,このアルバムの全てが「AOR」の括りになっているというのは,ちょっとした勘違いであって,このアルバムは1976年という制作時点でのボズ・スキャッグスというひとりのミュージシャンが辿った経路を示すものだと思う。だからディスコ的なブルー・アイド・ソウルの「ロウダウン」があり,彼の出発点に近い「ジャンプ・ストリート」があり,当時のリズムの流行を意識した「ラブ・ミー・トゥモロウ」があり,本邦での彼のイメージを決定づけた「ウィ・アー・オール・アローン(二人だけ)」があり,彼の好みと思われるような「何て言えばいいんだろう」やこの曲や「ジョージア」がある。実はボズというミュージシャンのあらゆる面が含まれた「ごった煮」のアルバムなんじゃないかと思うのだ。

Lido Shuffle (David Paich / Boz Scaggs)


Lido missed the boat that day
He left the shack
But that was all he missed
And he ain't comin back

At a tombstone bar
In a jukejoint car
He made a stop
Just long enough
To grab a handle off the top

Next stop Chi town
Lido put the money down let em roll
He said one more job ought to get it
One last shot 'fore we quit it
One for the road

Lido.. woah oh oh oh
He's for the money
He's for the show
Lido's waiting for the go

Lido.. woah oh oh oh
He said one more job ought to get it
One last shot 'fore we quit it
One more for the road

Lido will be runnin'
Havin' great big fun
Until he got the note
Sayin' tow the line or blow it
And that was all she wrote

He'll be makin' like a bee line
Headin' for the border line
Goin' for broke
Sayin' one more hit ought to do it
This joint aint nothin' to it
One more for the road

Lido.. whoah oh oh oh
He's for the money
He's for the show
Lido's waiting for the go

Lido.. woah oh oh oh oh oh oh
One more job ought to get it
One last shot then we quit it
One more for the road

Lido.. woah oh oh oh
He's for the money
He's for the show
Lido's a waitin' for the go
Lido.. woah oh oh oh

☆ シャッフルだからリズム隊が格好良い。(デヴィッド)ペイチのムーグも曲の終盤に効果的に煽っている。ボズの歌唱はといえば,こちらはもうノリノリで決めてくる訳で,あまり楽しい歌詩でもないが(爆)なんとなく楽しくなってくる。なおこの曲のB面が「二人だけ」で(日本盤もそうなっている)でこの2曲がアルバムの「締め」の2曲なので,もしかしたら最高のカップリングかもしれない(笑)。

PERSONNEL
• Boz Scaggs – lead vocals, guitar
• Fred Tackett – guitar
• David Hungate – bass
• Jeff Porcaro — drums
• David Paich — keyboards, moog synthesizer
• Horns – Vincent DeRosa, Jim Horn, Paul Hubinon,
Dick Hyde, Plas Johnson, Tom Scott,
Bud Shank
最高位
豪州:第2位、全加:5位、全米:11位、全英:15位

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「音楽っていいですね。そこには常に理屈や論理を超えた物語があり、その物語と結びついた優しい個人的背景がある。この世界に音楽というものがなかったら、僕らの人生は(つまり、いつ白骨になってもおかしくない僕らの人生)もっともっと耐え難いものになっていたはずだ。」(引用元:村上春樹「ポケット・トランジスタ」(『村上ラジオ』2001年6月8日所収))

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